2023年後半から2024年は、Meta Quest 3, Apple Vision Pro, PICO 4 Ultra, Meta Quest 3SといったMRデバイスが市場をにぎわせました。MRへのシフトが強く見られ、空間コンピューティングがフィーチャーされました。このあたりは、次の記事でも取り上げています:
IDCが発表した 2024年通年 国内AR/VRヘッドセット市場規模および予測を発表 によれば、

2024年の国内出荷台数は、2023年に比べると80%程度と縮小傾向でしたが、MRへのシフトが強く見られました。また、今後はシンプルなVR機器は消滅し、VRヘッドセットは基本的にMR機能を持ち、市場は緩やかに拡大していくという予想になっています。

特にApple Vision Proの出現によって、MRあるいは空間コンピューティングへのシフトが加速されたと言われていますが、その傾向は強く堅持されるということですね。
同じくIDCの新しい発表になりますが、2025年4月28日の AR & VR Headsets Market Insights によれば、マーケットシェアはMetaがダントツという傾向がさらに強くなってきています。

この理由として、Meta Quest 3Sという安価な価格帯のMR機器が投入されたことがあげられますね。パンケーキレンズという強いトレンドを打ち破って、安価なフレネルレンズを採用した勝利と言えます。
では今後市場はMetaの一人勝ちになっていくのか、というとそうでもないのではないかと個人的には思います。というのは、Apple Vision ProやPICO4 Ultraが打ち出してきている空間写真や空間ビデオのSNSでのシェアが、今後MR市場で流行ってくるのではないかと思われるからです。
もちろんMeta Questでもできるわけですが、Metaは自身のメタバースである Meta Horizen Worlds にかなり固執しているため、その行く末に強く左右されることが予想されます。一方PICOはTikTokという強いSNSプラットフォームを持ち、簡単に空間ビデオのシェアができるようになっていますし、Appleもイマーシブビデオのフォーマットを打ち立てApple TVへの展開を見せています。
このあたりはVR/AR機器の出荷台数としては現れない新しいMR市場の拡大が見込まれると思われます。
そしてGoogleのOSであるAndroid XRの参入がXR市場に与える影響も少なくないと見込まれ、XRのソフトウェア市場が活発になってくる可能性が高まっていると言えるかも知れません。